輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

稲葉山城

稲葉山城

稲葉山の斎藤道三秀龍の密使は、いったい、どんなことを齎して来たのだろうか。

もとより厳秘だ。

一族の者でも重立った者にしかその内容は洩らされていない。

だが――

密かな評議があった夜の翌日頃から、蜂須賀党のうちでも腕がきくとか、頭がするどいとか、敏捷だとかという特質のある者が、次々に変装しては、蜂須賀村から消えて行った。

岐阜へ。岐阜へ。

誰となく囁かれていた。

小六の舎弟に、蜂須賀七内という者があった。その七内も、何か一役持って、岐阜へ忍んで行くこととなり、日吉は、その七内の供をして行けと吩咐けられた。

「何か、戦でも始まるんで、その探りにでも行くんですか」

日吉が、訊ねると、

「よけいなことをいうな。黙っておれにくっついて来ればいいんだ」

と、七内は、何も話してくれなかった。

この人のことを、邸の小者でも、台所の者でも、「あばたの七内様」と蔭口して、誰も煙たい――というよりも憎悪していた。兄の小六のような情味が、このあばたの七内様にはちっともないからだった。大酒呑みで生意気で、すぐ腕自慢するといったふうな人間だった。

「……嫌だなあ」

日吉も、正直そう思った。