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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

「だけどなあ、おじさん。おらのことを、誰も日吉って呼ばないよ。日吉って呼ぶのは、おっ母さんとお父さんだけだ」

「似てるからな」

「猿にだろ」

「自分も心得ているのはなおいい」

「だって、みんないうもの」

「はははは」

戦場暮しの侍の声は、笑い声まで大きかった。側にいた侍たちも同時に笑った。その間、日吉は無聊な顔して、ふところから黍の茎みたいな物を出してはポリポリ齧っていた。その茎の汁は青臭いなかに甘い味があった。

「ベッ。……ベッ」

日吉は、噛むだけ噛んだ甘黍の糟を、そこらじゅうへ、行儀もなく吐きちらした。

「幾歳になるか」

「おらの年け」

「ウム」

「七歳」

「もうそうなるかなあ」

「おじさん、何処の人」

「おまえの母親と親しい者だ」

「へえ?」

「おまえの母の妹は、ようわしの屋敷へは遊びに見える。帰ったら、母へよろしくいってくれ。藪山の加藤弾正が、お達者に――というていたとな」

一息やすんだ兵馬は、その時もう列を立て直して、庄内川の浅瀬を彼方へ渡り出していた。

振り向くと、弾正も急いで、馬の背に跳ねあがった。陣刀だの、具足だのが、その人の体で、羽ぶるいするようにガチャッと鳴った。