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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁
一国一国には、それぞれ国の性格があり、そこにはまた、虚と実があった。
表面、脆弱に見える国でも、内部は案外、充実している国もあるし、権威富力の大きく見えている強国でも、案外、中の腐えている国もある。
たとえば、日吉が歩いた範囲でいえば、美濃の斎藤、駿河の今川家のように。
そういう大国と強国のあいだに挟まって、尾張の織田、三河の松平などは、見るからに貧しい小国だった。――けれど、その小国のうちに、何か大国にない力が潜んでいなければ、厳として、存在はしていられないはずだった。
世間でいうように、信長が愚かであったら、どうして、那古屋が保とう。
ことし、その信長は、ちょうど二十歳になると聞いている。
父の備後守信秀を亡って、十六歳から那古屋の城に主君として立ってからでも、もう三年はたっている。その三年に、粗暴で、うつけで、何の能も才もない若大将が、どうして、小国とはいえ、亡父の遺産の領土を失わずに、しかも半ば、薄気味わるく思われながら、国土を持っていることができよう。
もっとも、人にいわせると、それは信長の力ではなく、家臣に偉いのがいるからだという。