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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

「至極、結構に存じまする。何ぞなお、温かい馳走なと、作らせておきましょう」

勘解由は、去った。

二月の初めだったが、まだ梅のつぼみすら固かった。ことしはひどく寒く、池の面の厚氷は一日溶けなかった。

さっき使いを出して、呼びにやったのは、各※(二の字点、1-2-22)、べつに邸を持っている三人の息子たちへであった。

本来、こういう大きな邸では、総領は元よりのこと、次男三男でも、皆、大家族的に妻から孫まで一つに住んでいるのが、世間の慣わしだったが、中務は、

(朝夕、子や孫どもの愛にひかされては、少しでも、御奉公の懈怠になる)

といって、皆、べつに邸を持たせて早くから妻にも別れた身を、孤独で暮していた。

そして、先君の遺孤、主君の信長を、主と護るのみでなく、わが子とも思いこめて、守役の大任を負いとおして来たのだった。

ところが先頃からその信長は、少しも爺よ爺よと、自分を慕わなくなった。――のみか、面を横にし、耳をふさいで、自分のことばをも、厭う風であった。

不審に思って、近侍の者に糺してみると、

「御子息の五郎左衛門殿と、お馬のことから実は――」

と、数日前、馬場であった気まずい事件を、話してくれた。