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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

米饅頭

早速、以前の同役、がんまくの小屋をたずねた。

がんまくはまだ、草履取をしていた。

「どうだ、暇はないか」

「なんで?」

「城下へ参って、一献奢りたいが」

「ま。遠慮しましょう」

「どうして」

「木下殿には、今では、台所奉行というお役。このがんまくは、以前に変らぬ草履取。あなたの沽券にかかわりましょう」

「ひがむな。――そんな気持なら、真っ先に訪ねては来ない。実は、身に過ぎたお取り立ての上にもまた、今度は、お厩方三十貫と仰せつかった」

「ほ……」

「小者小屋にはいても、おぬしの忠義な心底を、おれは頼もしく思っている。――で、歓びを分ちたいのだ。どうだ、来ないか」

「それはめでたい。――だが藤吉郎殿、おぬしは俺より正直者だな」

「む。なぜ」

「おぬしは何事も、おれに打ち明けて包むことがないが、わしは実は、多分におぬしへ隠していた。本当のところをいうと、わしはお草履取はしていても、例の……時折特別な御用を勤めるので、殿のお手許からじかに、莫大なお手当を戴いていて、それは皆、密かに国元の屋敷の方へ送っておるのだ」

「ふム……故郷に屋敷など持っておるのか」

「江州の柘植村へ行けば、一族もいるし召使も二十人くらいはいる」