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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁
ひと口にいえば、覇道の国。
乱れても、戦い合っても、日本において、朝廷という御中心は確固として、幾千代までも御中心である。民の心のなかにも常に中心となっている。そういう安らかさは明国にはない。
「――思えばありがたい国にわたしたちは生れたもので」
捨次郎は、そんなふうに、日本と明国とを、比較して話したりした。
そしてそれとなく、於福に向っては、卑屈な気を持つなと教え、世間に向っては、明国と日本との密接な関係を諭した。
だから於福も、近頃は、内気どころではなくなった。奉公人も世間の者も、決して彼をからかわなくなった。
「いや、ご馳走になりました。こん夜もいろいろと、耳新しいお話をうかがったりして」
「もう十分に、頂戴いたしました。夜も更けましたれば、この辺で」
「ぼつぼつ、お暇を」
「そうじゃ、おひらきといたそうかの」
無事――その晩の招き事も終って、客は次々に帰って行った。
奉公人たちは、その後がまた、一しきり忙しい。
「やれ、やっと仕舞ったか」
「お客には、珍しいかもしれぬが、明国のはなしも、わしらには年中なのでな」
などと欠伸まじりに、大勢であと片づけにかかり出すのだった。