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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁

青空文庫

芝居の裏通りや附近には、有名な役者たちが住み、音曲の方の人たちも、その一角のなかかその近間にいた。櫓下芸妓もあるといったふうで、四囲の雰囲気は、すべてが歌舞伎国領土であった。

新島原という名は、京都で有名な、島原遊廓から来たものであったろう。あまり短命だったので、知れていないが、明治二年に、あの土地へ遊廓が許されて、新島原が出来かかったのだが、次の年の秋に大暴風雨があって、中万字という妓楼が吹き倒され、遊女が八人も怪我をしたので、遊廓の未完成のまま立退きを命じられた。

新富座の前名の守田座は、その島原へ建った。もともと、遊廓と芝居は離れない因縁をもっていて――歌舞伎の創業時代に遊女が小屋がけをしたことなどをいっていると、それだけでも長くなるが――江戸開府のころ、日本橋区人形町附近の、葭の生えているような土地を埋めたてたりして、葭原という廓が出来、住吉町、浪花町などと、出身地の地名をかたどった盛り場となり、その近くへ芝居小屋が建築されたそれが、いわゆる三座と称せられた江戸大劇場の濫觴で(中村座、市村座、山村座。そのうち山村座は、奥女中江島と、俳優生島新五郎のことで取りつぶされた)、堺町、葺屋町にあった。