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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
金紗お召の一つ綿入れに、長じゅばんの袖は紫友禅のモスリン。五つ衣を剥ぎ、金冠をもぎとった、爵位も金権も何もない裸体になっても、離れぬ美と才と、彼女の持つものだけをもって、粛然としている。黒い一閑張の机の上には、新らしい聖書が置かれてある。仏の道に行き、哲学を求め、いままた聖書に探ねるものはなにか――やがて妙諦を得て、一切を公平に、偽りなく自叙伝に書かれたら、こんなものは入らなくなる小記だ。
※(「火+華」、第3水準1-87-62)子さんは、故伯爵前光卿を父とし、柳原二位のお局を伯母として生れた、現伯爵貴族院議員柳原義光氏の妹で、生母は柳橋の芸妓だということを、ずっと後に知った女だ。夜会ばやり、舞踏ばやりの鹿鳴館時代、明治十八年に生れた。晩年こそ謹厳いやしくもされなかった大御所古稀庵老人でさえ、ダンス熱に夢中になって、山県の槍踊りの名さえ残した時代、上流の俊髦前光卿は沐猴の冠したのは違う大宮人の、温雅優麗な貴公子を父として、昔ならば后がねともなり得る藤原氏の姫君に、歌人としての才能をもって生れてきた。
実家だと思っていたほど、可愛がられて育った、養家親の家は、品川の漁師だった。