輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁

青空文庫

時代ははっきりと変ってしまった。欣々女史の栄華がなくなってしまったからとて、彼女の才能は決してにせものではない。だが、激しい世相の転回があった。世界的な思潮の動揺にも押しゆさぶられていた。

せわしさに、昨日の人を思出していられないというふうな、世の中の目まぐるしさだった。

ある日、浜子が来て、

「そこまで、江木さんが来たのだけれど、急がしいといけないから、また来ますって。」

「あら、帰ったの。」

あたしは惜がった、それはいつぞや、帰りぎわに、淡路町の邸で、静な室を二室抜いて、彼女の篆刻が飾ってあったのを見せられた時、どれか上げたいといったのを、またの時にと急いで帰ったばっかりに彼女の篆刻は、あすこに並べてあっただけは、一個も残らず焼失したことの惜さを、なぐさめてあげたい思いで一ぱいだったからであった。

欣々女史の書画――篆刻の技は、素人のいきをぬけて、斯道の人にも認められていたのだ。

丁度、私は牛込左内町の坂の上にいて、『女人芸術』という雑誌のことをしている時だった。二階の裏窓から眺めると、谷であった低地を越して向うの高台の角の邸に、彼女は越して来ていた。