輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁
半七捕物帳
一
一
歴史小説の老大家T先生を赤坂のお宅に訪問して、江戸のむかしのお話をいろいろ伺ったので、わたしは又かの半七老人にも逢いたくなった。T先生のお宅を出たのは午後三時頃で、赤坂の大通りでは仕事師が家々のまえに門松を立てていた。砂糖屋の店さきには七、八人の男や女が、狭そうに押し合っていた。年末大売出しの紙ビラや立看板や、紅い提灯やむらさきの旗や、濁った楽隊の音や、甲走った蓄音機のひびきや、それらの色彩と音楽とが一つに溶け合って、師走の都の巷にあわただしい気分を作っていた。
「もう数え日だ」
こう思うと、わたしのような閑人が方々のお邪魔をして歩いているのは、あまり心ない仕業であることを考えなければならなかった。私も、もうまっすぐに自分の家へ帰ろうと思い直した。そうして、電車の停留場の方へぶらぶら歩いてゆくと、往来なかでちょうど半七老人に出逢った。
「どうなすった。この頃しばらく見えませんでしたね」
老人はいつも元気よく笑っていた。
「実はこれから伺おうかと思ったんですが、歳の暮にお邪魔をしても悪いと思って……」
「なあに、わたくしはどうせ隠居の身分です。盆も暮も正月もあるもんですか。