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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁

青空文庫

三

その以外には何の怪しい廉もないが、たった一度、女の手紙らしいものを持っていたことがある。勿論、見付けられると同時に、千次郎はすぐ破ってしまったので、自分はその文句を読んだことはないが、その以来注意して窺っていると、彼はなんだか落ち着かないところがある。自分に対して何か隠し立てをしていることがあるらしい。それが面白くないので、半月ほど前にも自分は彼と喧嘩をした。そうして、是非ともすぐに女房にしてくれと迫ったこともある。それから間もなく、彼は姿を隠したのであった。

「そうか。そいつあいけねえな」と、半七もまじめにうなずいた。「だが、師匠。おふくろに苦労させるのが可哀そうだからなんて、うまくおれを担ごうとしたね。おめえもずいぶん罪が深けえぜ。おぼえているが好い。はははははは」

お登久は真っ紅になって、初心らしく小さくなっていた。

三

お登久の姉妹に土産の笹折を持たせて帰して、半七はまだ茗荷屋に残っていた。

「やい、ひょろ松。犬もあるけば棒にあたるとはこの事だ。雑司ヶ谷へ来たのも無駄にゃあならねえ。合羽坂の手がかりが少し付いたようだ。女中をちょいと呼んでくれ」