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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁

青空文庫

二

と、半七は念を押した。

「わたしは無論見おぼえがない。屋敷中のものも残らず詮議したが、誰も見識っている者はないと云っている。この娘の風体から見ると、どうも町人らしいが……」

「左様でございます」と、半七はうなずいた。「どうしても御屋敷方じゃございません。それから恐れ入りますが、この死骸の落ちていた大屋根のあたりを一度みせていただくわけにはまいりますまいか」

「承知いたしました」

軍右衛門は先に立って長屋を出て、玄関先へ半七を案内した。かれは二人の中間をよんで、玄関の横手から再び長梯子をかけさせると、半七は身づくろいをしてすぐにするすると登って行って、大屋根の上に突っ立った。そうして、誰か一緒に来てくれと、上から小手招ぎをすると、小作りの中間一人があとからつづいて登って来たので、その中間に教えられて、かれは死骸の横たわっていた場所は勿論、高い大屋根のうえをひと巡り見まわって降りた。

二

黒沼の屋敷を出て、半七は更に馬道の方へ行った。そこに住んでいる子分の庄太を呼び出して、あの屋敷に就いてふだんから何か小耳にはさんでいることはないかと詮索したが、庄太は別に聞き込んだことはないと云った。