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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁
四
「はい」と、和吉はふるえながら半七の手を取ろうとすると、彼は横っ面をゆがむほどに撲られた。
「ええ、うるせえ。何をしやがるんだ。てめえ達のような磔刑野郎のお世話になるんじゃねえ。やい、やい、なんで他の面を睨みやがるんだ。てめえ達は主殺しだから磔刑野郎だと云ったがどうした。てめえ達も知っているだろう。磔刑になる奴は裸馬に乗せられて、江戸じゅうを引き廻しになるんだ。それから鈴ヶ森か小塚ッ原で高い木の上へ縛り付けられると、突手が両方から槍をしごいて、科人の眼のさきへ突き付けて、ありゃありゃと声をかける。それを見せ槍というんだ、よく覚えておけ。見せ槍が済むと、今度はほんとうに右と左の腋の下を何遍もずぶりずぶり突くんだ」
この恐ろしい刑罰の説明を聴くに堪えないように、十右衛門は顔をしかめた。和吉も真っ蒼になった。ほかの者もみな息を嚥んで、云い知れぬ恐怖に身をすくめていた。どの人も、死の宣告を受けたように、眼たたきもしないで少時は沈黙をつづけていた。
冬の空は青々と晴れて、表の往来には明るい日のひかりが満ちていた。
四
半七はとうとうそこに酔い倒れてしまった。店の真ん中に寝そべっていられては甚だ迷惑だとは思ったが、誰も迂濶にさわることは出来なかった。