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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁

青空文庫

「わたしがちょっとお目にかかりたいと、そう云ってくれませんか」

襖を閉め切った奥の居間には、主人夫婦と十右衛門とが長火鉢を取り巻いて、昼でも薄暗い空気のなかに何かひそひそ相談をしていた。おかみさんは四十前後の人品の好い女で、眉のあとの薄いひたいを陰らせていた。半七はその席へ案内された。

「もし、旦那。若旦那のかたきは知れました」と、半七は小声で云った。

「え」と、こっちへ向いた三人の眼は一度に輝いた。

「お店の人間ですよ」

「店の者……」と、十右衛門は一と膝乗り出して来た。「じゃあ、さっきお前さんがあんなことを云ったのはほんとうなんですか」

「酔った振りしてさんざん失礼なことを申し上げましたが、科人はお店の和吉ですよ」

「和吉が……」

三人は半信半疑の眼を見あわせているところへ、女中の一人があわただしく転げ込んで来た。何かの用があって裏の物置へはいると、そこに和吉が首を縊って死んでいたというのであった。

「首を縊るか、川へはいるか、いずれそんなことだろうと思っていました」と、半七は溜息をついた。「さっき大和屋の旦那からいろいろのお話を伺っているうちに、若旦那とお冬どんのことが耳に止まりました。