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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁

青空文庫

と、半七は訊いた。

「三度のたべものは店の方から運ばせますが、ほかに小女を一人やってございます。それはお熊と申しまして、まだ十五の山出しで、いっこうに役にも立ちません」

「隠居さんも、八十一とは随分長命ですね」

「はい。めでたい方でございます。しかし何分にも年でございますから、この頃は耳も眼もうとくなりまして、耳の方はつんぼう同様でございます」

「そうでしょうね」

役に立たない小女と、眼も耳もうとい隠居婆さんと、縁遠い容貌よしの娘と、この三人を組みあわせて、半七はなにか考えていたが、やがてしずかに云い出した。

「なにしろ困ったことだ。そのままにしても置かれますまいから、まあ何とかしてみましょう。そこで、娘は無論そのことを知っているんでしょうね」

「徳次郎の死んだことは知って居りますが、それについて兄が掛け合いにまいりましたことは、まだ当人の耳へは入れてございません。たとい嘘にもしろ、自分が殺したなぞと云われたことが当人に聞えましては、どうもよくあるまいと存じまして、まだ何も聞かさないように致して居ります」

「判りました。じゃあ、まあその積りでやってみましょう。