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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁

青空文庫

「なるほど」と、半七は思わずほほえんだ「それから其の隠居所の、お此さんのいる六畳の部屋で、近い頃に障子の切り貼りでもしたことはありませんかえ」

「さあ」と、利兵衛はすこし考えていた。「隠居所の方のことはくわしく存じませんが、そう云えば何でもこの月はじめに、隠居所の障子を猫が破いたとか云って、小僧が切り貼りに行ったことがあったようでした。併しそれはお此さんの部屋でしたか、どうでしたか。おい、おい、音吉」

二、三間も先に立ってゆく小僧を呼び戻して、利兵衛は訊いた。

「このあいだ隠居所の障子を切り貼りに行ったのは、お前じゃなかったか」

「わたくしです」と、小僧は答えた。「お此さんがいつも仕事をしている六畳の障子です。なんでも猫がいたずらをしたとかいうことで、下から三、四段目の小間が一枚やぶけていました」

「いつ頃だか、その日をたしかに覚えていないかえ」と、半七は訊いた。

「おぼえています。お節句の日でした」

半七はまたほほえんだ。それぎりで三人は黙ってあるいた。

そのうちに深川の寺へゆき着いたが、葬式は極めて簡単なものであった。山城屋から三両という送葬料を取って置きながら、こんな投げ込み同様のことをするとは随分ひどいやつだと半七は思った。