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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,540 字 · 319 頁
半鐘はあたかも権太郎の冤罪を証明するように鮮かな音を立てて響いた。このあいだから撞木は取りはずしてあるのに、誰がどうしたのか半鐘はやはりいつものように鳴った。
もうこうなると人間業ではないらしくなって来た。一町内の者はまたおびえて、再び総出で火の見梯子を警戒することになったが、その警戒のきびしい間は半鐘もおとなしく黙っていた。警戒が少しゆるむと、半鐘は又すぐに叫び出した。こんな不安な状態が小ひと月もつづいたので、人間の方も疲れて来た。もうこの上はどうしていいか判らなくなった。
「お寒くなりました」
「おお、半七さんか。まあこっちへ」
自身番にちょうど詰めていた家主が笑い顔をつくって半七を迎えた。それは半七老人が今この話をしている時と同じような、十一月はじめの時雨れかかった日で、店さきの大きい炉には炭火が紅く燃えていた。半七は店へあがって炉に手をかざした。
「なんだか騒々しいことがあると云うじゃありませんか。御心配ですね」
「おまえさんも大抵お聞き込みだろうが、実に困っているんですよ」と、家主は顔をしかめて云った。「どうでしょう。お前さんのお見込みは……」