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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁

青空文庫

「六月二十三日の晩、尾張屋の娘が雷火にうたれた時、おまえが一番さきに見つけたのだな」

「はい」

「その時に、雷獣のかけ廻るのを確かに見たか」

「はい」

「女の癖に、どうして一番さきに駈け付けた」

「土蔵のまえが急にぱっと明るくなりまして、かみなり様がお下りになったようでしたから、なにか間違いでもないかと存じまして……」

「で、行ってみたらどうした」

「お朝さんと重吉さんが倒れていました」

「倒れているところに、なんにも落ちていなかったか」

「気がつきませんでした」

「鼠捕り粉がこぼれていなかったか」と、半七は訊いた。

「いいえ、存じません」

「おかん」と、半七は詞をすこしやわらげた。「おまえは重吉をどう思っている」

おかんは黙っていた。

「重吉が可愛くなかったか」と、半七はほほえんだ。「おまえは給金を幾らほど溜めている」

おかんはやはり黙っていたが、半七に催促されて、小声で答えた。

「五両ばかり溜めて居ります」

「五両じゃあ、国へ帰っても夫婦になれめえな」

彼女はまた黙ってしまったが、その俯向いている鬢の毛の微かにそよいでいるのが、半七の眼についた。

「おい、おかん。もうこうなったら、何もかも正直に申し立ててお上の慈悲をねがえ。