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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁

青空文庫

四

「番屋まで来て貰おう」

其蝶はもう覚悟をきめたらしく、すなおに牽かれて表へ出た。

四

「これで一廉の手柄をした積りでいたところが、ちっと見当が狂いましたよ」と、半七老人は額をなでながら笑い出した。「まあ、だんだんに話しましょう」

息つぎに茶をのんでいるのが、わたしにはもどかしかった。わたしは追いかけるように訊いた。

「すると、その其蝶が殺したのじゃあないんですか」

「違いました」

「じゃあ元吉という男でしたか」

「やっぱり違いました」と、老人はまた笑っていた。

なんだか焦らされているようで、わたしは苛々して来た。それと反対に老人はいよいよ落ちついていた。こういう話はひとを焦らしているところが値打ちだといったような顔をしているのが、きょうは少し憎らしいようにも思われて来た。老人は茶碗を下において、しずかに又話し出した。

「其月を殺したのはお葉でしたよ」

「お葉……。その女中がどうして殺したんです」と、わたしは意外らしく訊きかえした。

「まあ、お聴きなさい。そのお葉という女は小娘のときから色っ早い奴で、十六の春から千住の煙草屋に奉公しているうちに、そこの甥の元吉と出来合ったことが知れて、その年のくれに暇を出され、あくる年からお玉ヶ池の其月のとこへ奉公に出たのは、前にも云った通りですが、なにしろ主人は独り身、奉公人は色っ早い奴