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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁

青空文庫

三

三

「すると、その金魚がすぐに死んだので、宗匠は先方に申し訳がないと云うんだね」と、半七はすこし考えていた。「だが、もともと生き物のことだ。飼いようが悪くって死なねえとも限らねえ。時候の加減で斃ちねえとも云われねえ。金魚だって病気もする、それを一途にこっちのせいにされちゃあ困るじゃあねえか」

「それを云ったのでございますよ」と、惣八は訴えるように云った。「ところが、宗匠はどうしても肯いてくれないで、なんでも贋物を売ったに相違ない。ふだんが不断だから、おまえの云うことは的にならないと……」

「不断よっぽどまやかし物を持ち込んでいるとみえるね」

「御冗談を……」と、惣八はあわてて打ち消した。「まったくあの宗匠は一国で、一旦こうと云い出したが最後、なんと云っても承知しないんですから」

「それからどうした」

「どうにもこうにもしようがありません。といって、あの宗匠の家の出入りを止められると、これからの商売にもちっと差しさわることもありますので、よんどころなしに御無理ごもっともと一旦は引きさがって来て、とりあえず売り主の元吉にその話をしますと、元吉も素直には承知しません。