輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁

青空文庫

それを耳にもかけないような風で、娘はその切髪を持ったままで何処へか行ってしまいました。

大勢はそれに気を呑まれた形で、ただ黙ってその娘のうしろ姿をながめているばかりでした。いくら武家の娘だと云って、まだ十四か十五の小娘が蛇のあつまっているなかへ腕を突っ込んで、平気でなにか掴み出して行く。その度胸のいいのにみんな舌を巻いて、一体あれはどこの家の娘さんだろうと云ったが、誰も確かに知っているものがない。又あの切髪は誰のだろうと云ったが、それも判らない。みんなもその評定に気をとられている間に、たくさんの蛇はどこへか消えてしまったように影も形もみえなくなったので、みんな又おどろいたが、もうその頃はそこらも薄暗くなって来たので、よく判らない。多分そこらの溝へでも這入ってしまったか、空屋敷の庭へでも這い込んだろうということになって、見物人は次第に散ってしまったのですが、なにしろ、それが蛇と小娘と切髪と、不思議な三題噺が出来あがっているので、その晩のうちにその噂が新宿から青山の方まで一面にひろまってしまいました。

『その娘は何者だろう。その娘とその切髪とどういう因縁があるのだろう』