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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(三)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,612 字 · 405 頁

青空文庫

「はい。ともかくも念晴らしに一度は行って来たいと思って居ります」

「きっと出かけますかえ」

「はい」

「およしなせえ、くたびれ儲けだ。路用をつかうだけ無駄なことだ」

「そうでございましょうか」と、藤太郎はすこし考えているらしかった。

「なにも首をひねることはねえ。出かけるくらいなら、今朝なぜ直ぐに出て行きなさらねえ」

と、半七はあざ笑った。「仮病をつかって、家の二階にごろごろしていることはねえ。さっさと飛び起きて、草鞋をはく支度をするがいいじゃあねえか」

「いえ、決して仮病では……。唯今も申す通り、どうも寝冷えをいたしたとみえて、暁方から頭が痛みまして……」

「あたまの痛てえのはほかに訳があるだろう。倉田屋の姉娘を呼んで来て看病して貰っちゃあどうだね」

藤太郎の顔の色はいよいよ蒼くなった。

「おまえさんは妹を使にして、倉田屋の娘と文のやりとりをしているだろう」と、半七は畳みかけて云った。

「倉田屋の娘もやっぱり自分の妹を使にしている。どっちの妹も稽古朋輩だから、それはまことに都合がいいわけだ。ここの妹がきのう雷師匠に嚇かされたのは、清書が不出来のせいじゃあねえ。稽古場で手紙を落としたからだ。