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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(二)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 頁

青空文庫

小僧は妙な顔をして表へ出て来たが、かれは半七の顔を思い出したらしく、急に形をあらためて行儀よく立った。

「ゆうべは騒がせて気の毒だったな」と、半七は云った。「ところで、お前に少し訊きたいことがあるんだが、一昨日か一昨々日頃、この店へ筆を取り換えに来た人はなかったかえ。この水筆だ」

ふところから紙につつんだ水筆を出してみせると、小僧はすぐにうなずいた。

「ありました。おとといのお午過ぎに若い娘が取り換えに来ました」

「どこの子だか知らねえか」

「知りません。この筆を買って帰ってから、一ほど経って又引っ返して来て、穂の具合が悪いからほかのと取り換えてくれと云って、ほかのと取り換えて貰って行きました」

「ほかには取り換えに来た者はねえか」

「ほかにはありませんでした」

「その娘は幾つぐらいの子で、どんな装をしていた」

「十七八でしょう。島田髷に結って、あかい帯をしめて、白い浴衣を着ていました」

「どんな顔だ」

「色の白い可愛らしい顔をしていました。どこかの娘か小間使でしょう」

「その娘は今まで一度も買いに来たことはねえか」

「さあ、どうも見たことはないようです」

「いや、ありがとう」