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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁
御承知の通り、商売忌敵とか申しまして……。いえ、別に喧嘩をいたしたと云うのではございませんが……。つまり縁が無いと申すのでしょうか……」
その口ぶりと、女房の顔色とを見くらべながら、半七はしずかに云った。
「ねえ、番頭さん。わたしも御用で来たのだから、隠し立てをされちゃあ困る。決してお前さん達に迷惑は掛けねえから、みんな正直に云って貰おうじゃあありませんか。岡崎屋を不縁になったのは、何かほかに訳があるだろう。わたしはそれを訊きに来たのだ」
「お前さんのお言葉ですが、まったく同商売の顧客争いというようなことから、双方の親たちのあいだが面白く参りませんので……」と、番頭は押し返して云った。
「親たちばかりでなく、当人同士の夫婦仲もなにぶん丸く参りませんので……」と、お勝もその尾に付いて云った。
おそよは去年の五月、十八で岡崎屋へ嫁に行って、その当座はまず無事であったが、半年ほど過ぎると、とかくに折り合いが悪く、とうとう此の三月に別れることになったので、ほかに仔細も無いと、母は説明した。
同商売の顧客争いから、親たちが不和になるというのは、随分ありそうなことである。