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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《桜島・日の果て・幻化(さくらじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 頁
しかしサンホセ盆地の錯綜する道路網を、地理不案内のため方角を間違うこともあり得る。またインタアル付近で脚の傷が悪化するということもあり得ないではない。しかし此の経過に先ず引っかかって来るのは、花田中尉に肩を貸したという住民の女のことであった。
使いが出された。傷が未だ治癒せず歩行が困難であるからと言う理由で、花田中尉は還って来なかった。使者の報告では、密林中によりそうように建てられた五六軒のニッパ小屋部落のひとつに、花田中尉は女と同盟の記者と三人で暮していたと言う。あとの小屋には、戦場や部隊から離脱したり逃亡したりした陸海軍の兵隊が七八名、それぞれ分宿しているらしい。四五日経って、再度使いが立った。それでも花田中尉は還って来なかったのだ。
その中にだんだん食糧事情が悪くなり始めた。盆地の開闊地には籾は山と積まれていた。比島の農民は、籾を収穫期に一度に搗くことはせず必要なだけその時々に搗くので、白米としての保有はない。部隊としては籾を集めて、これを米とする以外になかった。しかしツゲガラオ飛行場から飛び立つ米機のため、昼間は籾の搬送は出来ぬ。夜間に辛うじて、密林内に引き込み、住民を集めて搗かせ、之を部隊の食糧にあてた。