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ウニデスちょうりゅうのかなた

橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇

橘 外男

線上閱讀橘 外男《橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇(ウニデスちょうりゅうのかなた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,361 字 · 483 頁

青空文庫

を示しつつ近付いて来るものが続々と現れてきたが、さていつまでもこうやっていることはできないのであった。

帰るならば、もうそろそろ艦へ引き揚げなければならなかったが、それを通じる方法とてもなく、困惑し切っている頃に、先方はそんなことには頓着せず、そこへ三人ばかりの男に担がせて、大きな藍色の壺を搬ばせてきた。赤黒く、ドロリとした液体が一杯に湛えられて、それを水差しのような白磁の壺に酌み分けては、我々に差し出してくれるのであった。何という酒か! 葡萄の酸味と甘みとが、こっくりと舌の上に溶けて、その甘美さ! 身体中に酔いが快くポウッと廻ってきて、何とも、言おうようのない味わいがしてくるのであった。我々が喜んで舌鼓を打っているのを見ると、群集の面にはますます満足の色が泛んできた。

しかも士官たちはそうして舌鼓を打ちながらも、艦へ帰るべきか否かを相談しているうちに、兵員たちは……ああ、兵員たち! 彼らはなんという愛すべき無邪気な存在であったろうか……炎天の下、汗を拭き拭き歩いて乾き切った喉に、その美酒の何杯かを流し込んだのであろう。たちまち朗らかに酔いを発して、三、四人肩を組んで「ラインの護り」