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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 頁

青空文庫

お祖母さんは仏間で何かかたことと音を立てていた。そしてお芳は、おくれて起きてきた俊三のために、台所でお給仕をしてやっていた。

そこへ、だしぬけに、家の中の空気にそぐわない、はればれとした声で、

「お早う!」

と挨拶をして、黒のつめ襟の服を着た人がはいって来た。大巻徹太郎だった。

「やあ、お早う。さあどうぞ。」

と、俊亮は坐ったままで彼に挨拶をかえし、長火鉢の向こうに敷いてあった座蒲団をうらがえしにした。徹太郎はその上に無遠慮にあぐらをかきながら、

「ゆうべは宿直で、今帰るところです。」

「そう。それはお疲れでしょう。……ご飯は。」

「学校ですまして来ました。……ところで次郎君は来ていませんかね。」

「来ていますよ。」

「じゃあ、今日は、今から私のうちにつれて行きたいと思いますが、どうでしょう。恭一君も俊三君もいっしょに。」

「それは、よろこぶでしょう。……おい、次郎……恭一。」

俊亮が呼ぶと、二人はすぐ座敷の方から出て来た。

「やあ、次郎君、やっぱり来ていたんだね。どうだい、きょうは三人そろって叔父さんについて来ないか。お祖父さんもお祖母さんも待ってるぜ。」

次郎は突っ立ったまま恭一の顔を見た。