輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 頁
恭一と次郎とでは、登山の楽しみ方がまるで違っているように思われた。恭一はいつも考えながら歩き、おりおり手帳を出しては何か書きつけるといったふうだった。次郎は、これに反していつも棒ぎれで岩や木を叩いたり、大声を出して山彦と問答をしながら歩いた。正木や本田の家での次郎を知っている者の眼には、山に登る時の次郎は、まるで別人だと思われたかもしれない。
もっとも、ただ一度だけ、徹太郎と恭一とを非常に心配さしたほど次郎が考えこんでしまったことがあった。それは、ある山の中腹で、弁当を食べながら、近くの大きな岩の裂目に根を張っている松の木について、三人が語りあったあとのことだった。
「君たちには、あの岩が動いているのがわかるかい。」
徹太郎が、松の木の根元の岩を指しながら、だしぬけにたずねた。恭一と次郎とは、けげんな顔をして、その岩を見たが、岩はしんとして日光の中にしずまりかえっているだけだった。
徹太郎は笑いながら、
「眼で見たってわからんよ、心で見なくちゃあ。」
すると恭一がすぐ、
「ああ、そうか。」
と言って、次郎の顔を見た。次郎は、しかし、まだきょとんとしていた。