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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 頁

青空文庫

現に本田の弟の場合がそれだ。僕はもう一度はっきり言う、正義は階級になくて人にあるんだ。もしそうでなければ、全校一致も期待出来ない。それが期待出来るのは、正義が階級の独占物でなくて、何人の胸にも宿りうるからだ。だから僕は、同級生の団結よりも、正しい人の団結が先ず必要だと思う。僕は四年生を愛し、五年生を憎むために、本田の弟をバックしようと言うんじゃない。僕は学校全体を愛するんだ。学校全体の正義を愛するんだ。そのためには、本田の弟のような、不正に屈しない魂をあくまでも擁護しなければならんのだ。問題は、四年生の権威がどうの、名誉がどうのというような、そんなけちけちしたことにあるんじゃない。大垣校長の謂ゆる大慈悲の精神に生き、全校の正義を護ろうと言うんだ。おれの言ったことを誤解せんようにしてくれ。」

大沢にしては、めずらしく激越な調子だった。みんなは鳴りをしずめて聴いていた。

誰よりも感激したのは、恭一だった。正義感の鋭いわりに、気の弱い彼は、大沢のこの言葉で、力強い支柱を得たような気がした。彼は、何よりも、それを次郎のために喜んだ。そして、その日の授業が終るまでに、彼は、次郎の生い立ちや、彼自身の次郎についての考えなどを、何もかも、大沢に打ち明けた。