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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 頁

青空文庫

やっぱり中学校には行くものだね。」

お芳はただうなだれていた。

お浜は、少しけんのある眼をして、お祖母さんとお芳とを見くらべていたが、そのまま唾をのみこんで、今度は俊亮の方を見た。

俊亮は眼をつぶって木像のように坐っていた。

「次郎ちゃん、僕、すっかり次郎ちゃんに負けちゃったよ。」

と、恭一が、その時、膝を乗り出すようにして、

「しかし、朝倉先生はやっぱり偉いなあ。僕、これまで偉いとは思っていたんだが、それほどだとは思っていなかったよ。……そして、その五年生って誰だい。」

「ううん、誰にも名前は言えないよ。」

次郎は、うつむいたまま答えた。

「そうか、多分あいつだろうと思うけれど。……しかし、まあいいや、誰だって、よくなりさいすりゃ、いいんだから。」

俊亮は、その時、やっと眼を見開いて、

「父さんも、もう次郎には負ける。うちで一番偉いのは次郎らしいね。これも乳母やのおかげかな。」

「坊ちゃん!……」

と、お浜はやにわに次郎に飛びついて、その肩を抱きすくめた。

お鶴は顔を赧らめて見ており、俊三はきょとんとして眼を見張った。

一九 夜の奇蹟

お浜には、しかし、まだ何か割り切れないものが残っているらしかった。