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えどげいじゅつろん
江戸芸術論
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《江戸芸術論(えどげいじゅつろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,130 字 · 167 頁
手彩色の板画は漸次廃滅するに至りき。(紅絵の起原は享保の始め頃和泉屋権四郎なるものこれを作り始めたりとなせども、西人最近の研究はこれを否定し、当時の紅絵と称するものは純然たる彩色板刻ならずしてやはり手彩色の板物ならんと推断せり、しかして純然たる二色摺の出たるは、米人フェノロサが多年の研究によりて寛保二、三年なるに疑ひなきことを得たるが如し。また従来日本の書物には多く紅絵と漆絵とを同一視すれども、これまた西人の研究により、紅絵中には漆を施すものと施さざるものあるが故にこれを区別し、紅絵を二色または三色摺板画と呼び、漆絵は丹絵と共に手彩色墨摺板画の部に入れたり。)
此の如く二色摺板画は寛保三、四年に始まりしが数年ならずして、宝暦元年頃(一七五一、二年)に至るやいつともなく緑紅の中より緑色の分解によりて黄色を作り、また紅色の上に藍色(青)を摺りて紫を得、以て三色摺となしぬ。こは最初何人の企てたる処なるや判然せざれども、宝暦元年頃における鳥居清満の制作板画において、殊にその用法の顕著にして巧妙なるを以て、最近欧米の研究者は一般に清満を以て二色摺を三色に進歩せしめたる功労者となせり。