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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《海上の道(かいじょうのみち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 頁
すなわち上代の人もまた上代なりに、思いちがいをする場合が有り得たのである。久しい年月を重ねるうちには、そういう誤解もまた固定することがある。今日も「地下に感泣す」だの、または「地下の霊もし知るあらば」だのと、平気でいう人もぽつぽつある。人の亡骸を深い穴の底に、ことんと入れてしまう例は幾らもあるが、あれはナキガラであって霊魂ではない上に、そういう葬法もよほど新らしい起原であった。一般には霊のみは自由に清い地に昇って安住し、または余執があればさまよいあるき、或いは愛する者の間に生まれ替ってこようとしてもいた。根が地下のことだというたしかな証拠があるか、または正しい推定であったかは、是からの大きな問題だが、少なくともミイラを作った国の人のような、物質永続の信仰を日本人は持っていなかった。すなわち黄なる泉の流れるという土の底まで、入って行く場合などは有り得なかった。したがってまた我々のいわゆる根の国は、もっと安らかな、この世の人の往ったり来たりまでが、かつては可能と考えられた第二の世界であった。中世の伝説のミミラクの島は、まずこの一点において是と牴触するところがない。