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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《海上の道(かいじょうのみち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 頁
一五 海神信仰の展開
記録としては久米島にただ一つ、残り伝わっているオトヂキョの神話が、日本の神代史の蛭子の物語と似通う節があることは、伊波君もすでに注意せられている。南の島々の父神は日輪であるが、その数ある所生の中に、生まれそこないのふさわぬ子があって、災いを人の世に及ぼす故に、小舟に載せて、これを大海に流すという点が、わが神代史の蛭子説話と、偶然の一致ではないように思われる。その仮定を確かめ得るものは、今後の多くのよその島々との比較であろうが、日本の内部においても、蛭子の旧伝には中世の著しい解釈の発展があって、それは必ずしも首都の神道の、関与しなかったもののように思われる。誰が最初に言い出したとも知れず、蛭子は後に恵比寿神となり、今では田穀の神とさえ崇められているが、その前は商賈交易の保護者、もう一つ前には漁民の祭祀の当体であり、その中間にはたぶん航路神としての信仰を経過している。古典の註釈家には支持せられなかったようだが、ともかくもかなり縁遠いこの二つの神が、知らぬうちに民間ではちゃんと結合していた。海上交通の歴史が四分の三以上、文書史料の外にある国がらとしては、流伝の経路もほぼかの方面にあるものと推測してよいのであろう。