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こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《潤一郎ラビリンスV――少年の王国(こぞうのゆめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,989 字 · 144 頁

青空文庫

に対する好奇心が、むら/\と湧いて来るのであった。

「あすの朝までゞよろしゅうございますからとっくりとお考えなさいまし。申すまでもございませんが、決して他人に相談をなすってはなりません。此の山の坊さんたちの云うことは、みんな真赤な※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)でございます。あなた様のような罪のないお稚児に、世の中をあきらめさせようとして、好い加減な気休めを云うのでございます。兎にも角にも、其の文をゆっくり御覧になった上、御自分で御分別をなさいまし。ようございますか。」

男は瑠璃光の顔つきに表れて居る狐疑の色を、それと見て取ってそゝのかすように云った。そうして、いそがしそうに二三度軽く頭を下げて、すた/\と石段を駈け降りて行った。

それでもまだ、瑠璃光の体のふるえは止まらなかった。男は純潔な生一本な少年の心に、這入り切れないほどの重苦しい物を托して行った。自分が明日の朝までに用意して置く返答に依って、自分の将来がどうにでもなる。―――そんな大事件が、彼の手に委ねられた例は嘗てなかった。そう自覚するだけでも、彼は激しい動悸を制することが出来なかった。