輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《潤一郎ラビリンスV――少年の王国(こぞうのゆめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 71,989 字 · 144 頁

青空文庫

麹町区のF小学校に見るような、キチンとした身なりの上品な子供は居なかったけれど、さすがに県庁のある都会だけに、満更の片田舎とは違って、相当に物持ちの子弟も居れば頭脳の優れた少年もないではなかった。中には又、東京の生徒に輪をかけて狡猾な、始末に負えない腕白なものも交って居た。

土地の機業家でG銀行の重役をして居る鈴木某の息子と、S水力電気株式会社の社長の中村某の息子と、此の二人が級中での秀才で、貝島が受け持って居る三年間に、首席はいつも二人の内の孰れかゞ占めて居た。腕白な方ではK町の生薬屋の忰の西村と云うのが隊長であった。それからT町に住んで居る医者の息子の有田と云うのが、弱虫でお坊ちゃんで、両親に甘やかされて居るせいか、服装なども一番贅沢なようであった。しかし性来子供が好きで、二十年近くも彼等の面倒を見て来た貝島は、いろ/\の性癖を持った少年の一人々々に興味を覚えて、誰彼の区別なく、平等に親切に世話を焼いた。場合に依れば随分厳しい体罰を与えたり、大声で叱り飛ばしたりする事もあったが、長い間の経験で児童の心理を呑み込んで居る為めに、生徒たちにも、教員仲間や父兄の方面にも、彼の評判は悪くはなかった。