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ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《牢獄の花嫁(ろうごくのはなよめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 162,213 字 · 325 頁

青空文庫

「首尾よく、奪り上げました」

「うム、上出来上出来」

と、受け取って、舟辰の若い者、千吉へ、

「これと、同じような荷を、すぐに、もう一つ作ってくれ」

「へい」

と、千吉は振ってみて、

「老先生、何がはいっているんですか」

「殺されたお前の妹――お半の指がはいっておる」

「えっ、妹の指が」

「だが、今開けてはならん」

「へ、へい……」

と、千吉の手は、怪しくふるえていた。

すぐ同じような小箱を造り、油紙をかけ、縄で括げて、佐渡平の店から持って来た印つきの送り状へ、同じ宛名を書いて貼りつけた。

「加山」

――老先生は、彼に、その、偽箱の方を授けて、沈痛に、

「では、かねてお前に詳しく言いふくめてある通り、これを持って、山城国の含月荘へ」

「はっ」

「急いで行ってくれ」

「心得ましてござります」

「そちの吉報が、一期の浮沈だ。――まことに、今日はもう六月二日。百日の期間までには、後七十三日と相成った。一日とてゆるがせにはならん、道中も、急いで頼むぞ」

「必ず、一刻もはやく、吉報をつかんで立ち帰りまする」

「オオ、早く発て」

「ではご一同、ご免を」

「あっ、待て加山」

「はっ」

「その仲間態ではいかん。