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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

線上閱讀梅崎 春生《狂い凧(くるいだこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 頁

青空文庫

「そうじゃないよ。おれは現在のことを考えているんだ」

栄介は大きく呼吸をした。

「でも、時々ギプスの形を見ると、城介やその他の人たちのことを考える。判らないことがたくさんあるんだ。もっとも判らなきゃ、判らなくても済むことなんだが――」

城介につきそって駅まで行ったのは、栄介だけである。駅もその街のではなく、わざわざ次の駅をえらんだ。どういうわけでそうなったのか。父親の意向なのか、幸太郎の考えからなのか。それとも城介がそう希望したのか、栄介はもう覚えていない。とにかく大きな荷物を持っての長旅の恰好なので、人目をはばかるおそれがあったのだろう。もし知人に会えば、

「どこへ、何をしに、行くのか」

と質問され、されないにしても疑問を持たれるにきまっている。退学事件との関連で、それは具合が悪いのだ。

あたたかい日であった。荷物を持って歩くと、背がじとじとと汗ばんで来るのが判る。すこし早目に家を出たので、駅についた時、まだ一時間ほどの暇があった。荷物を小荷物に託し、二人は身軽になって駅舎を出た。

「兄貴、うどんでも食べようか」

城介は空を仰ぎながら、冗談めかして言った。