輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《狂い凧(くるいだこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 頁
「お前はまだ死んじゃいけなかったんだ」
あの下関の造酒屋の階段が、やはり見おさめだったと思った時、彼は胸が怒りのようなものでいっぱいになり、慄え出した。涙は出て来なかったが、慄えはなかなかとまらなかった。
その年の暮れに、遺骨を受領に来いという連絡があった。名古屋からである。下関から出発した人間が、どうして名古屋に戻って来るのか、彼には理解出来なかった。今もなお理解出来ない。
父親の福次郎は、城介が出征して一年ほどたって病死した。今家族と言えば、母親と栄介と弟と妹だけだ。受領に出かけられるのは、彼だけであり、また彼の責任でもあった。
「一体何で骨が名古屋に戻って来るのかねえ」
母親もふしぎがった。
「直接こちらに持って来りゃ、旅費だってムダにならないじゃないか」
と言って、出かけないわけには行かない。栄介は名古屋に出発した。
だだっぴろい寒い営庭で、合同慰霊式のようなものが取行われた。はるか彼方でしめやかにラッパが鳴り、隊長のあいさつや、祭文みたいなものが読まれているらしい。空は晴れて、風が強かった。その風に乗って、時々聞えて来るのだ。もちろん声の意味は判らない。