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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
線上閱讀新渡戸 稲造《自警録(じけいろく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 168,224 字 · 328 頁
たとえばわれわれが子供のとき、母の乳房につけるころに見たり聞いたり、または感じたりしたことは、われわれの心の、いわば片隅に隠れ、忘れられているらしく思われるが、必ずしも消滅し去るものでない。
元来、人が事物を記憶するのは、たいがい四歳以上になって見聞したことにかぎる。しかして三歳、または二歳のころ、まったく無意識的に見たり聞いたりしたことは、根底より消え失せるかと問わば、けっしてそうでない。どこかに潜んでいて、いつかことに触れ機に接して、何人にも聞いたこともないことを想い浮かべるのは、よく各人の実験し、また他人についても見聞することである。われわれがなにかするときに、こういうことはかつて前にもあった、いつであったか、その時を忘れたが、確かにあったと思い出すことがある。またあるいはまったく新しい所、――たとえば外国に行って、その風景などもなんとなしにかつてどこかで見たように感ずることもある。しかるに実際はいかに考えても、見たはずがないというがごとき類は一種の潜在識の作用であろう。この潜在識はわれわれ個人として経験したことばかりのものにかぎらない。われわれの祖先が経験したことまでも材料となる。