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じけいろく

自警録

新渡戸 稲造

線上閱讀新渡戸 稲造《自警録(じけいろく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 168,224 字 · 328 頁

青空文庫

第二十七章 夢の実用

夢は迷信として排くべきか

また真の理想なれば実際に行われぬものはない。いかに高き理想も実際に現すことができると信ずる。

第二十七章 夢の実用

夢は迷信として排くべきか

年が明けて、来たるべき一年間の出来事を卜するためか、あるいはまた過ぎた年の厄払いのためか、正月の二日に、宝船を枕の下に敷き、めでたき初夢を結ぶことは、わが国古来の習俗で、いまもこの風を行うものが何万の数に達するであろう。文明の今日になって、なおかくのごとき迷信が行わるるといって、これを憂うる人もあろうが、また一歩しりぞいて考えると、これを迷信と非難するものの、はたして迷信であるか否かと反問するの余地があると思う。

ゆめやゆめ、うつゝやゆめとわかぬかな、いかなる世にかさめんとすらん

とは古き人の歎きであるが、いまも同感なる者は少なくない。

よく人は、「人生は夢の如し」などという。人生ははたして夢なるか、夢ならざるか。これは学者も名僧知識も、いまだ容易に断定を下しえない。

夢に死し夢に生まるゝ朝寝坊起きて苦を知る釈迦よりはまし

と猩々庵原松の狂歌にある。夢見つつねむりおるあいだが人生か、めざめたる暁が人生か。これは哲学者、宗教家などに問いても、夢そのものがなにものなるか、また夢と称するものの範囲がはっきりするまでは、とうてい満足な解答を与うることができぬであろう。