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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 頁

青空文庫

右京次郎も叮嚀に云った。

「お見受け致せば困難のご様子、心置きなく何んなりと、我らにご用命くださるよう、すぐに調え進ぜるでござろう」

こう常氏は親切に云った。

喜ぶと思いの外、右京次郎は冷淡に、

「いや困難はお互いでござる。……かかる戦国に産まれ合わせたからは、生命の不安、生活の危険、これはもうお互いでござる。目下も非常な窮境ではござるが、さりとてそのため死にもしまい。この困難を常と思えば別に不安もござらぬよ。ただし、戦争後のことであれば、負傷した者が十数人ござる。これの手当てだけお願い致します」

「心得てござる」

と常氏は、快くそれを承諾した。

「さて、これだけの人数を率い、今後は何んとなされますな?」やがて常氏はこう云って訊いた。

「さよう、遊説を致します」

「ははあ遊説? 遊説とはな?」

「昔、支那の孔子孟子、この世に平和を持ち来たらさんため諸侯に遊説致したようにな」

「で、生活の方面は?」

「遊説賃を頂戴します」

「で、貴殿の中心思想は?」

「自由、平等、人類愛」

「いずれも聞かぬ名目だが、富国強兵の方策かな?」

「いや、全然反対のものでござる」

「強兵策ではござらぬかな?」