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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 頁

青空文庫

雪を捲く嵐

「そこでもう一つお尋ね致す――見渡すところお手前達はわずか八人よりござらぬが、一切でそれだけでござるかな」

「いいや、なかなかもちまして、吾ら一切の同勢は、一千人を越すでござろう」

「ふうむ」と旅の侍は呻くような声を洩らしたが、「主領はお手前でござろうな?」

「何んの何んの手前如きはほんの小頭の一人でござる」

「しからば主領は何人でござる?」

「お聞き及びでもござろうが、吾ら一千人の主領と申すは、南蛮渡来の法術を使い遁甲隠形飛行自在、まだ弱冠の身でありながら、既に総帥の器を有し、数年前より御嶽山上に砦を設けて武威を張る御嶽冠者と申すお方!」

雪を捲く嵐

旅の侍はこれを聞くと、パッと二、三歩飛び退ざって、刀の柄へ手を掛けた。

「やあやあさては汝らは、かねて聞き及ぶ賊の張本、御嶽冠者の手下なるか!」

「黙れ!」と頭領は怒号した。「賊の張本とは無礼であろう。まこと吾らが主領事、木曽家を怨む事あって兵を集むるとは知らざるか! 打ち見るところ、その方も、眼の配り方胆の据え方、心得ある者と思ったればこそ、今までは言葉を厚うして味方に引き入れんとは企てたれ、今の雑言を聞くからは、もはや一寸も動かぬぞよ!」