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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《赤ひげ診療譚(あかひげしんりょうたん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,548 字 · 47 頁
「いえ、そうじゃねえんで」と与平は頭を掻いた、なにか悪いことでもみつけられたように、頭を掻きながら云った、「じつはその、ちょいとした事ができたんで、今日の七つ(午後四時)ごろにいちど来てもれえてえと、こういうわけで伺ったんですが」
「なにか騒ぎでもあったのか」と去定が脇から訊いた、「また高田屋か」
「そうじゃねえ、いや、そうかな」与平はまた頭を掻き、首をひねった、「騒ぎじゃねえんだが、高田屋のことってえわけでもねえんだが、騒ぎはあるかもしれねえが、そいつは来てもらえばわかるんで、いかがでしょう」
「七つだな」と去定が云った、「よし、その時刻までにいくと云っておけ」
与平は登を見た。登は「いくよ」と云って頷いた。
外診の供を五カ所済ましてから、去定に云われて、登は音羽へでかけていった。曇った午後で、四時まえだというのにあたりは暗く、弱い北風が肌へしみとおるほど寒かった。角三の家の勝手口で声をかけると、おたねが出て来た。履物がごたごた並んでいるのを、登が不審そうに見たことに気づいたのだろう、長屋の人たちです、とおたねが云った。――あがってみると、角三の寝床の横に、男たちが四人いて、登に挨拶をし、坐るところをあけた。