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おどるびじんぞう

踊る美人像

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《踊る美人像(おどるびじんぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,460 字 · 31 頁

青空文庫

部屋の調度はなかなか洒落たもので、窓掛も、椅子も、卓子も、飾電灯も存分に贅沢な趣味と、無法な浪費とを物語って居ります。建築はこの節の高等アパート並に鉄筋コンクリートですから、夜中まで騒いだところで、同宿人を困らせるようなことは滅多にありません。

暫らく女達を追い廻して居た糸子は、いきなり長椅子の上へ身体を投り出して、

「ア、ア、何んて臆病な人達だろう、そんなこっちゃ、鉄砲屋の前も通れやしない」

「短銃が怖いんじゃない、持ち手が恐ろしいんだワ。全く何をするか解らないから――」

「言ったね智恵ちゃん」

「言わなくってサ。少し今晩はどうかしてるワよ」

「そうだろうとも、日比谷公園へ引っ張り出されて、身ぐるみ剥がれて御覧、誰だって少しはどうかするから」

智恵子は同じ長椅子に腰を下して、そっと糸子の短銃の手の上へ自分の手を持って行きました。油断を見て、取り上げようと思ったのでしょう。派手な和服と派手な洋服と、凡そ似つかわしくない二人の様子ですが、その辺に醸し出される空気には、何んとなく舞台の上のような劇的な趣があります。

「どっこい、そんな事だろうと思った」

「ワッ」