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おどるびじんぞう
踊る美人像
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《踊る美人像(おどるびじんぞう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,460 字 · 31 頁
名探偵の出馬
名探偵の出馬
それから三月経ちました。事件は完全に迷宮に入って、女優殺の犯人は永久に挙りそうもありません。
多分――世間では斯う言いました――あの女の淫蕩な生活を憎んで、美人像が殺したんだろう。名作に奇瑞は昔から付き物だ――と。
警視庁の花房一郎が、事件の中心に飛込んで来たのは、もうすっかり夏になってからの事です。
糸子の妹の雪子が、「せめて姉の仇を」と言って千種十次郎に泣き付いたのが発端で、この淋しい娘のために、曾て姉を保護する約を果すことの出来なかった十次郎は、其足ですぐ花房一郎を訪ねたのです。
「それは困る」
所轄署への遠慮で、なかなか腰を上げなかった花房一郎も、十次郎と雪子に口を酸ぱくさせた揚句、とうとう、
「では、調べて見るだけでも」
ということになりました。
それから三日、花房一郎は文字通り糸子の殺された室に籠りました。「日本家屋には滅多にない秘密の通路でも発見する気だろう」とか「床から壁から天井まで、一尺四方ずつにでも区切って、誉め廻るように調べて居るだろう」と噂されましたが、事実は大違い、糸子の部屋に籠った花房一郎は、電気蓄音機を聞いたり、新聞を読んだり、煙草を吸ったり、一向取り止めの無い顔をして暮してしまいました。