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てっとうのかいじん
鉄塔の怪人/海底の魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《鉄塔の怪人/海底の魔術師(てっとうのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 160,770 字 · 322 頁
丸ビルの妖虫
やがて、麻酔薬のねむりからさめた、おとうさんは、ことのしだいをきいて、小林少年のてがらを、ほめたたえ、くりかえしくりかえし、お礼をいうのでした。
丸ビルの妖虫
しかし、鉄塔王国の怪人は、一度失敗したぐらいで、あきらめてしまうようなやつではありません。失敗すればするほど、しゅうねんぶかく、くいさがってくる、おそろしい、悪人です。
それから一週間ほどたった、ある朝のことです。東京駅のまえの丸ビルの中に、ギョッとするような事件がおこりました。
朝の六時を、すこしすぎたころでした。まだ会社員は、ひとりも姿を見せません。一階の通路の両がわの商店も、一けんも、店をひらいていません。大きなビルディングの中は、まるで、死んだ町のように、がらんとして、しずまりかえっていました。
その、ひとけのない、一階のひろい通路を、ひとりの小使さんらしい老人が、ほうきとバケツを持って、二階への階段の下まで、歩いてきました。そして、ふと階段を見あげたかとおもうと、電気にでもかかったように、ピッタリたちどまったまま、身うごきもできなくなってしまいました。目はとびだすほど、大きくなり、口はポカンとひらいて、まるで、あおざめたろう人形のような顔になってしまったのです。