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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁

青空文庫

「…………」

「空色の単衣と青い帯を見ると、誰でも私と間違えます。薄暗い四畳半にいるのを私と思い込んで、障子の外から一と思いに突いたとしたら――」

お秀はそう言って襟をかき合せるのでした。さすがにそこまで想像すると、ゾッと肌寒いものを感ずる様子です。

「匕首はどこにあったんだ」

「猪之さんが忘れて行ったのが、廊下の棚の上に置いてありました」

「誰でもわかる場所か」

「低い棚ですもの、一と目で分ります」

「変な場所へ刃物を置いたものじゃないか」

「でも、匕首なんか、箪笥へ入れたら、なお気味が悪いじゃありませんか」

「そういったものかな」

女の心の動きは、銭形平次にも読みきれないものがあります。

「ともかく、一度親分の眼で見て下さいませんか。猪之さんが人殺しで送られちゃ、あんまり気の毒です」

「行ってみるのはわけもないが、その前に見当だけでも付けておきたい。いったいお秀さんを殺すほど怨んでいるのは誰だい」

「…………」

お秀は黙ってしまいました。江戸娘の粋といったお秀は年こそ少し取り過ぎましたが、ずいぶん思いも寄らぬ罪を作っていそうな美しさでした。

四

平次の旨を承けて、現場へ飛んで行ったガラッ八は、昼少し前にはもう、鬼の首でも取ったような勢いで帰ってきました。