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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,230 字 · 280 頁

青空文庫

五

「外の曲者を入れたんじゃありませんか」

「それも考えられるが、――内の者が庭に足跡を残して、外から来た者が庭石の上を拾って歩くのはおかしいじゃないか、――昨夜はお月様があったかい」

「四日ですよ」

「まさか提灯を持って来たわけじゃあるまいな、――石と石の間は遠くて、そのうえ石は苔で滑るから、灯か月でもなきゃ無事に渡られる道理はない」

平次はすっかり考え込んでしまいました。

「お皆に怨みのある人間を捜しましょうか」

「いや、それより、ゆうべ誰と誰が一緒だったか、念入りに訊き出してくれ。ここへ忍んで来て、お皆を殺してそっと帰れるのは誰と誰だか」

「そんなことならわけはありません」

「あんまり暢気に考えちゃいけないよ。思いの外むずかしい仕事だから」

「ヘエ――」

ガラッ八は新しい仕事を持って庭の方へ飛びました。

五

「親分、大変ですよ」

「なんだ八」

中庭へ降りて木戸まで行った平次を、後ろから八五郎が呼び戻しました。

「三輪の親分がお秀を縛ってしまいましたよ」

「えッ」

「あの浪人者の話をみんな聴いて、下手人が家の中の者で女と決ったなら、お秀の外にはない。お秀は喜三郎を取られそうになって、ひどくお皆を怨んでいると判ったんで――」