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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁

青空文庫

このくらいでもうこの問題は結んでよかろう。要するに、東寔敬題となる愚堂和尚の賛だけは、ほぼこれで真蹟ということはいえるだろうと思う。すでにそれが確かめ得れば、紙が古紙か否かなどは、自然に解決することで問題ではなくなる。残るのは画であるが、画のないうちに、賛を先に書くわけもない。――してみれば、愚堂はこれに賛する時に、すでにこの画は彼の眼に見ているのである。

つまらない者が描いた無意味のものに、愚堂ともある人が、賛をゆるすべきはずもない。しかも、敬題するわけは絶対にない。

愚堂にすれば、自分へ賛を乞われた画の筆者が、誰であって、どんな精神で描いたかも、十分知った上での落筆であろう。でなければ、謹厳、敬題とはすまい。

また、武蔵の画には、彩色を施したものは殆ど見ないといわれているものの、田能村竹田の山中人饒舌は「予、宮本武蔵ノ画布袋図ヲ蔵ス、筆法雋頴、墨色沈酣、阿堵一点、突々人ヲ射ル。又、設色馬十二題図ヲ観ル、朱ヲ施シ粉ヲ填ジ、濃厚ヲ極ム、而シテ俗習ナシ、鞍鞭鑑諸具ニ至リテハ、古式ヲ按ジテ之ヲ作ル」とあるので、これに依れば、武蔵の画は彩色は絶無だとも云いきれないことになろう。