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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁
殺竹に跳ぶ
起き上がらんとくところを、ふたたび棒を拾って、滅多撲りになぐりつけた。
喜兵衛は、勿論、血反吐をはいて、絶息してしまった。
諸書みな、武蔵十三歳の時と伝えている。
殺竹に跳ぶ
関ヶ原出陣前といえば、十六歳から十七歳にかけての頃であろう。
武蔵は同輩二、三とうち連れて、附近の山野を遊行しているうち、とある断崖の上に出た。高さは二間ばかりと覚しく、下を覗いてみると、あたかも小竹原を伐り払った跡らしく、削ぎ立った夥しい切株が絶好の鹿砦を形造っている。
「もしこの下を敵が駈け通らば、御身達は如何にするか」
武蔵が問いかけた。同輩達は口を揃えて、
「この夥しい殺竹では、足もとが危なくて、敵の後を追うこともかなうまい」
と答えた。
武蔵はこれを聞き、忿懣の色を面に現わしたかと思うと、さっと身をひるがえして、断崖を跳び下りた。殺竹で足を突き抜いたことは、いうまでもない。
「何故、かかる無謀な振舞いをするのか」
駭き呆れる同輩の詰問に対して、武蔵は、
「上へは飛び立てぬ人間も、下へは、幾丈幾十丈ありとも跳び下りることが出来る。御身達が殺竹を怖れて、敵を追うこともかなわぬといわるるが心外ゆえ、傷つくとは知りつつ跳び下りて見せたのだ」